精密根管治療へのこだわり
残念なことに、現在日本の歯科で行われている根管治療は再発率が非常に高く、何度も再治療を繰り返すことになるケースが多くあります。
根管治療をやり直すためには、せっかく作った被せ物(クラウン)を除去しなくてはなりません。また、何度も感染根管処置を繰り返すうちに、歯根が弱くなり、歯の寿命は縮んでしまいます。
当院では、再発のない、再治療の必要がない根管治療を行うために、精密根管治療にこだわっています。
①マイクロスコープ / マイクロルーペ
根管治療の再発率が高い理由の一つに、根管内が見えず、根管内の感染組織除去を術者の手の感覚に頼っているということがあげられます。細い根管内は、肉眼ではほとんど確認することができないため、歯科医師の手先の感覚で、感染組織の除去が完了したか、根管内に問題が起きていないかを判断しています。
しかし、それではほんのわずかな感染組織の取り残しや、歯に入った亀裂などに気がつくことができずに治療を終了させてしまった場合、数年後に再発、再治療を行う原因となってしまいます。
当院では、マイクロスコープ、マイクロルーペを使用し、根管内を数倍~数十倍に拡大して視覚化しながら根管治療を行います。
感染組織の取り残しや、わずかな亀裂も見逃しません。また、手探りで行う根管治療では、わずかな手元の狂いで歯の根を器具で傷つけてしまう危険性もありましたが、はっきりと目で見ながら作業を進めているのでそのような心配もありません。マイクロスコープは、アメリカの根管治療専門医では導入が義務化されています。しかし、日本ではマイクロスコープを保有している歯科医院は全体の5%程度。ほとんどの歯科医師が未だに肉眼での根管治療を行っているという現状があります。
当院ではマイクロスコープ、マイクロルーペを使用した精密根管治療で、再発、再治療の可能性を最小限に抑えた治療を行います。
②CTによる正確な診査・診断
歯の根っこである根管は、複雑に分岐や彎曲しています。また、ケースによっては側枝(そくし)と呼ばれる枝分かれした細い管が存在することがあります。
これら複雑な形態をした根っこの隅々まで細菌に感染した歯質や神経を除去する必要がありますが、従来のレントゲン画像だけでは病変や側枝などを確実に把握することは困難です。
CTによる立体的な3次元の画像を確認することによって、レントゲンだけでは発見することのできない病変や側枝などを確認することができます。
③ラバーダム防湿
唾液には多くの細菌が含まれています。根管治療中に、根管内を無菌に保つためラバーダムと言う専用のゴムシートを治療する歯に装着します。
ラバーダムによって唾液の侵入を防ぎ、無菌状態を保ちながら治療を進めることができます。
唾液が入り込む可能性の高い根管治療時にはラバーダム防湿は必要不可欠であり、アメリカではほとんどの根管治療のケースで使用されています。しかし、日本ではラバーダム防湿を行って根管治療を行う歯科医院は、全体の10%程度。これも根管治療の再発、再治療が多くなってしまっている原因の一つです。
当院では、唾液混入の可能性のある場合には必ずラバーダム防湿を行って根管治療を行います。
④ニッケルチタンファイル
根管治療時には、根管内の感染組織を除去や根管形成の際に「ファイル」と言う細い器具を使います。
一般的に歯科で使用されているファイルは、ステンレス製のものですが、当院ではニッケルチタン製のファイルを使用しています。
ステンレスは、弾性が弱いため、単純な根管であれば問題ありませんが、複雑な根管内では、隅々までファイルが届きません。また、無理に複雑な根管内で使用すると、根管を傷つけてしまう危険もありました。
これに対して、ニッケルチタンは、ステンレスと比較し、非常に弾性あり、しなやかなであるため、複雑な根管内の形に合わせて根の先端、隅々まで感染組織の除去を行うことができます。さらに、このニッケルチタンファイルを電動で回転するロータリーに装着し使用することで、複雑な形態を持っている根管を迅速に理想的な形に整え、汚染物質を確実に除去することができるようになりました。
ニッケルチタンファイルは、アメリカの根管治療専門医院では、ほぼ100%の医院で使用されていますが、日本ではまだ20%ほどの医院でしか使用されていません。
当院ではニッケルチタンファイルを使用した、確実で安全な精密根管治療を行っています。